布団の中に嫁のパンティーを発見した件
アンニョイな朝。目を覚ましてベッドから体を起こし、立ち上がろうと床に足を着ける。
その刹那、 ”ベチョッ” とした感覚に驚き床を見ると、ネコのゲロがちょうど足を降ろしたところに散乱していた。
今日も素敵な一日が始まる予感がした、平成最後の秋。
ベッドサイドに備え付けられた愛用のティッシュで、ゲロのついた足をフキフキして、ベッドの上でまどろんでいると、手元に見覚えのある物体を発見する。
つまり嫁のパンティーである。(ここではあえて物体X(えっくす)と呼ぶことにする。)
それは見紛うことなき脱がし慣れた嫁のお気に入りの一枚であり、最近では、デカくなってしまった嫁尻を隠し切れないでいる。
薄い水色のそれは、大切なデルタ地帯がうっすらレース状になっており、毛深いとワカメが見えるか見えないかドキドキする一品でもある。それがなぜワタクシのベッドに転がっているのか?
息子氏が産まれた去年の夏以降、ワタクシ達夫婦の寝室は別になっている。以前は、ワタクシが今一人で寝ているダブルベッドで毎晩アツアツの夜を過ごしたものだが、最近では、嫁がこのベッドにやってくることはない。
中年とネコが寝るには広すぎるベッドの上で、ワタクシは獲得した嫁のパンティーを揉んだり、ニオイをクンクンしたりして悩んでいた。
一体全体、どうしてここにコイツが転がっているのか。
まずは昨晩の記憶を掘り起こす。ワタクシの記憶が確かなら、いつものようにスマホで軽くムフフな動画を鑑賞して、ネコ氏を抱きしめたまま昏睡したハズである。
間違っても嫁がここにやって来て、物体Xを脱がなければならないような事象が発生したことはない。ちなみに息子氏誕生以降、ワタクシは汚物のように扱われ、夫婦生活らしいことはまったくない。
気づくと頭に物体Xを被っていたワタクシは、さらに必死に考えた。
では、自分が物体Xを使ってナニかしでかしたのではないか?しかし、衰えてしまったアラフォーのオジサンには、パンティーだけで悦に入る創造力はあっても身体が反応しない。そんなことは、自分自身がよくわかっている。
せめて寝る前に優しくおっぱい揉む?と耳元で囁かれ、泣きながら胸に顔をうずめさせてくれればそれでいい。そうして薄れゆく意識の中で乳首を探しながら、永遠の眠りにつくのが最期の夢なのだ。
しかし、物体Xを被ったまま瞑想を始めたワタクシの頭に、もう一つの可能性がよぎった。
いや、もしかしたらワタクシがいない間に嫁がこのベッドの上で物体Xを脱いで、ゴソゴソしてしまったのではないだろうか?
なんてことだ!さみしい想いをさせてしまっていた。そんなことでは旦那失格ではないか!ワタクシは、自分の修行の足らなさを痛感し、座禅を組んだままベッドの上で
おっぱい揉むぞ!
おっぱい揉むぞ!
おっぱい揉むぞ!
と飛び跳ねた。一瞬、夢の空中浮遊を成功させたような気がしたが気のせいだった。
ワタクシは一刻も早く愛する嫁を抱きしめてあげようと、いきり勃ちながら立ち上がった。
脳内にはX JAPANの名曲「紅」のピアノ伴奏が始まっていた。
リビングに向かうと嫁が息子氏とテレビを見ている。ワタクシはコーヒーを淹れながら、嫁の耳元で優しく囁いた。
脳内では、YOSHIKIが激しくドラムを叩き始める。紅に染まった君を慰めるやつはワタクシしかいないのだ!
しかし、嫁の反応がない。なんでや?脳内では客が両手を交差させて、
セックス!
感じてみろ!
セックス!
と発狂している 。
仕方ないので、ワタクシはポッケに忍ばせた物体Xを取り出して、そっと嫁に渡した。
すると、嫁は
と言って物体Xを奪ってしまった。
脳内ではYOSHIKIがドラムセットを投げて蹴っ飛ばして暴れ始めている。嫁にはもうワタクシは見えていないようだ。
意気消沈しながら全ワタクシは、合唱を始めていた。
もう二度と届かないこの思い
閉ざされた愛に向かい叫びつづける…