嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

スーパー外回転に成功して逆子大戦争に勝利した件

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明治38年5月27日14時05分、戦艦三笠に座乗していた連合艦隊司令長官東郷平八郎はバルチック艦隊を目前にし、艦隊に取舵150度の逐次回頭を指令した。

 

世にいう「敵前大回頭」(トーゴー・ターン)である。


アンニョイな五月晴れ。本日は天気晴朗なれども浪高し。朝から嫁提督が座乗する中古の軽を操舵し、このほど勃発した逆子大戦争にケリをつけるため、我々夫婦は病院に向かっていた。

 

現在、妊娠35週、有能な嫁操舵士がいる本艦は、出産へ向けた航海をここ数カ月、順調に続けている。艦内での小競り合いはあったが、漏水などの大きな問題も起こらず無事にやってきたのは奇跡と言えるだろう。

 

歴戦の猛者、経産婦の嫁提督は初産航海を乗り切り、下士官に信頼される威厳を備えるようになった。今回の戦いにおいても絶対の自信を持っているようである。それは、今回から観覧将校として予備役の姑元帥(帝王切開済)を招聘したことも大きいように思える。


操舵士のワタクシにとっては、上官が増えてヒドイ目に遭うことが多くなっただけなのだが、娘甲板員、ネコ見張り員と乗組員も増え、楽しいことも多くなった。前置きが長くなったが、つまり病院で嫁の逆子を治すための外回転術という手術を受けたのである。

 

どんな手術かというと、要するにお腹の上から赤ちゃんを押してグイっと回転させるというキワドイことをする手術だ。成功確率は半々だそうだが、緊急時には帝王切開をしなくてはならないこともあるそうで、キケンが伴うことは間違いない。

 

しかし、逆子での出産や、帝王切開を避けられることに越したことはないので、運を天に任せて手術を受けることにした。


もちろん、逆子を治すために逆子体操やヨガにお灸、鍼と散々挑戦し、全部失敗に終わって最後の最後の作戦であることは言うまでもない。ワタクシは最近、嫁にお灸をし過ぎて体がお灸クサくなった。

 

嫁にお灸を据えられることにはなれていたが、逆にお灸を据えることになるとは。。。フフッと、そんなことばっかり考えているバチが当たったのだと思う。

 

とにかく、朝から病院に来て入院の手続やらを済ませ、午後からの手術に臨んだ。といっても、手術の立ち会いはできないので、ワタクシは帰って家で昼寝してたんだけど。


が、ワタクシにはまぁ上手くいくだろうという根拠のない自信はあった。それはワタクシが運がいい方だという以上に、最近、悲惨な目にしか遭ってないので、ここで溜まった運を使わずにいつ使うという余裕があったからだ。

 

というよりも、今年に入って毎朝、朝日に手を合わせて必死に祈りを捧げ続けた結果、何があってもすべてを受け入れる覚悟ができているのだ。ワタクシは明日死んでもそんなに悔いはないが、プリキュアが観れなくなるのが残念な程度だ。

 

尊敬するD・カーネギー先生の名著「道は開ける」にもこんな記述がある。

 

神よ、われに与えたまえ、

変えられないことを受け入れる心の平静と、

変えられることを変えてゆく勇気と、

それらを区別する叡知とを。

 

「道は開ける」142ページより引用

ワタクシは今さら、嫁が家事をしないからといってキレたりしない。変えられないことを受け入れる心の平静を持っている。

 

だが、貧乏にもめげずに子作りには励んでいる。必死にブログを書けば、貧乏は変えられるかも知れないし、嫁もアラフォーといえまだ後2、3人くらい産めるだろう。ワタクシは変えられる未来を変えてゆく勇気を持っている。


さて、嫁の話によると14時から始まった手術は、10分もかからず終わり、あっさり我が子はお腹の中で産前大回頭(サカゴ・ターン)を決めたらしい。それは奇しくも連合艦隊が大回頭を始めたのと同じ14時05分くらいのできごとだったというワケだ。

 

赤ちゃんの心音も問題なく、へその緒が首に巻き付いたりもしていない完全勝利。手術のために昼飯抜きになっていた嫁から、

 

”ハ ラ ヘ ッ タ”

 

とのライン電信をネコ見張り員と寝ぼけながら確認し、ゆっくり起き上がると静かに天に手を合わせた。


戦後、東郷平八郎はこんな歌を残している。

咲くもよし散るもよし野の山桜 花のこころは知る人ぞ知る

 

D・カーネギー先生の教えにも通じるモノがあるような。東郷がどんな意味を込めてこの歌を詠んだのかは知るよしもないが、ワタクシは天祐を信じる潔い覚悟のようなものを感じ取った。

 

嫁のこころも知るよしもないが、今頃、病院のマズイ飯を腹いっぱい食べているのであろう。お疲れさまでした。


舞鶴鎮守府長官という閑職にあった東郷が、バルチック艦隊との一大決戦を前に連合艦隊司令長官に任命された理由は、運がいいからであったそうな。

 

ワタクシも運のいい男である。アラフォーにもなってこのふざけたブログを綴りながら、適当に生きているのに第二子にも恵まれようとしている。嫁に恵まれたと思っているかどうかは、読者の皆さまのご想像にお任せするが。

 

さて、1か月後には運命の出産を迎えることになる。心配なのは入院費だけだが、大丈夫、貯金はないがたぶん問題ない。ワタクシは運のいい男なのだ。