嫁を動かす

HOW TO WIN WIFE AND INFLUENCE PEOPLE

太陽の塔に怒られた件

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アンニョイな夏休み。お盆玉を年老いたトーチャンとカーチャンから略取しようと、娘氏を連れて実家に足を運ぶ。

 

が、いつまで経ってもジジババが現金をくれないので、暇つぶしに万博公園にできたEXPOCITYにある水族館”ニフレル”に行くことにした。

 

ご機嫌な孫に手を引かれてジジババも嬉しそうである。たまには親孝行もいいもんだ。


さて、水族館で気まぐれな娘氏に付き合うがまま、超混雑の館内をウロウロする。子どもが目を輝かせながら何かを見ている姿はいいもんだ。自分の目はいつの日から輝かなくなってしまったのだろうか?

 

しばらくすると、ホワイトタイガーの餌やりタイムが始まる。人だかりでさっぱり見えないので、娘氏を肩車して重みに耐えながら眺める。

 

ちびっ子達の歓声が上がる中、ふと後ろを振り返ると年老いた両親が優しい目で見守ってくれていた。その刹那、腹の出た中年となったワタクシの脳裏に、30年以上前の同じ場所での記憶がフラッシュバックした。


娘氏と同じ年頃だったワタクシは、この場所にあったエキスポランドという遊園地にトーチャンカーチャンと2つ上のニーチャンに手を引かれてよく来ていた。

 

ジェットコースターの轟音が絶え間なく響く園内で、ライフルの付いたジープみたいな乗り物に乗って、ライオンやキリンの人形を撃ちまくる今となっては問題となりそうなアトラクションが大好きだった。

 

ニーチャンと乗り物に乗ってドキドキで泣きそうになっていると、遠くでカーチャンが名前を呼びながら手を振ってくれて、少し安心して冒険に出発する。終ったら必死に走ってカーチャンの足に飛びつく。

 

広い園内をニーチャンの後ろについて無我夢中で走り回る。身長が足りなくてニーチャンしか乗れないアトラクションの前で泣き叫ぶ。

 

最後は決まってみんなで観覧車に乗って、太陽の塔に見守られながら夕暮れの大阪の街を眺める。退場ゲートをくぐる頃には、トーチャンに抱かれて眠ってしまい、起きたら次の日の朝で、遊園地に行ったのは夢だっけ?と少し混乱したもんだ。


あの時、ワタクシはトーチャンカーチャンに守られていた。でも、ホントはトーチャンとカーチャンを守っていたのだ。ふと我に返ってそんなことに気が付いた。

 

そういえば最近、何か憑き物が取れたかのように人生に悩まなくなったし、健康に気をつけて人間ドックにも行ったりして、自分の考えや行動が変わって来たように思う。たぶん、親としての自覚を最近産まれた息子氏や娘氏に叩き込まれたのであろう。

 

子どもの笑顔を見ていれば、なんだか頑張ろう!という気持ちにさせてくれる。失敗ばかりの人生だったけど、そんなことはどうでもいいことに思える。

 

尊敬するD・カーネギー先生の名著「道は開ける」にもこんなことが書かれている。

 

「人間が短い一生から喜びを取り出そうと思うのだったら、自分よりも他人のために役立つように考えかつ計画すべきである。なぜなら、自分に対する喜びは自分が彼らに与える喜びと、彼らが自分に与えてくれる喜びによって決まるからである」。

 

「道は開ける」262ページより引用

なるほど。ここには他人と書かれているが子どもと読んでも問題ないだろう。我が子は他人以上に喜びを与えてくれる。

 

30過ぎて家に引きこもってトーチャンカーチャンに心配を掛けたりもしたが、案外、親孝行だったかも知れない。子どもをピンチから救うような、親らしいことをすることは、喜び以外の何物でもない。

 

ワタクシも娘氏が人生に疲れて家に引きこもっても安心できるように、アホなブログでも書きながら、能天気に生きていなければ。


そんなこんなで、ニフレルでお魚に触れながら、人生の機微に触れたような夏休みであった。家族サービスも親孝行もできたし、よかったことにしよう。

 

ちなみに、お約束で娘氏は遊び過ぎて次の日熱を出した。そこまでは想定内だったが、トーチャンも人混みに酔って次の日寝込んだらしい。

 

そういえば、帰り際、「トーチャンがいつボケても大丈夫なようにしっかりしろ!」と太陽の塔に怒られた気がした。そうか、まだ若かったトーチャンがメリーゴーラウンドで酔って吐いたりしてたのもずっと見てたんだもんな。